革靴にアルコールティッシュを使うと、以下のような影響が生じる可能性があります。
アルコールは揮発性が高く、強い溶剤としての特性を持つため、革への影響が大きくなることが多いです。
詳しく見ていきましょう。
アルコールの作用と革への影響
アルコールは強い溶剤であり、以下のような影響を革に与えることがあります。
乾燥を引き起こす
アルコールは揮発性が高いため、革の表面にある天然の油分や水分を急速に蒸発させてしまいます。
これにより、革が乾燥し、硬くなったりひび割れたりするリスクが高まります。
革の柔軟性が失われると、靴の履き心地も悪くなる可能性があります。
色落ちや変色のリスク
アルコールには色素を溶解する性質があるため、特に色付きの革靴に使用すると、色落ちや変色を引き起こすことがあります。
革靴の染色が部分的に剥がれたり、色ムラができる原因となるため、注意が必要です。
コーティングや仕上げ剤の剥離
革靴には、仕上げとして表面にコーティングが施されている場合があります。
アルコールはこれらのコーティングを溶解する可能性があり、艶が失われたり、表面が曇ってしまうことがあります。
特に、光沢仕上げの革靴では、その影響が顕著に現れやすいです。
アルコールティッシュを使用する場合のリスク
革靴にアルコールティッシュを使用することには、以下のリスクがあります。
革のひび割れや硬化
乾燥によって革が硬くなり、ひび割れが発生することがあります。
アルコールによる油分の除去が進むと、革本来のしなやかさが失われ、硬くなりやすくなります。
表面の艶がなくなる
革靴の表面に塗られた仕上げ剤やワックスがアルコールで溶けてしまうと、艶が失われ、マットな見た目になってしまいます。
また、元々の革の風合いも損なわれる可能性が高いです。
白化現象(ブルーミング)の発生
アルコールを使用した後に革靴が白っぽくなることがあります。
これは、革内部の脂分が表面に浮き出て固まる現象で、ブルーミングと呼ばれます。
見た目が悪くなるだけでなく、触感も変わってしまいます。
アルコールティッシュの代替としての革靴クリーナー
革靴を清掃したい場合には、アルコールティッシュの代わりに専用の革靴クリーナーを使用することをおすすめします。
革靴クリーナーは、革に優しい成分で作られており、以下のような効果があります。
- 油分を残しながら汚れを落とす:革靴クリーナーは、革に必要な油分を保ちつつ、表面の汚れを除去するように設計されています。これにより、乾燥やひび割れを防ぐことができます。
- 色落ちしにくい:革靴専用クリーナーは、色落ちや変色を最小限に抑えるために調整されています。色付きの革靴でも安心して使用できます。
- コーティングを保護する:クリーナーによっては、保護成分が含まれており、革靴の艶や仕上げを保つことが可能です。
アルコールティッシュを使ってしまった場合の対処法
万が一、アルコールティッシュを使用してしまった場合には、迅速に対処することでダメージを軽減できます。
速やかに保湿する
アルコールによって失われた油分を補うために、レザークリームやレザーオイルを使用して革に潤いを与えます。
以下の手順で行います。
- レザークリームやオイルを薄く塗布:柔らかい布に少量のクリームやオイルを取り、革に優しく塗り込みます。特にアルコールを使用した部分には重点的に行います。
- 浸透させる:クリームやオイルが革にしっかりと浸透するまで数分待ちます。
- ブラッシングで仕上げる:最後に馬毛ブラシで軽くブラッシングして、革の表面を整えます。
色補正を行う
もし色落ちが起こってしまった場合は、カラーレザークリームで色を補います。
革靴の色に近いクリームを選び、少しずつ薄く塗り重ねることで、色ムラを整えることができます。
プロの修理に依頼する
ダメージが大きい場合や、自分で対処するのが難しい場合は、革靴の修理専門店に依頼するのが最も安全です。
プロによる修理であれば、仕上がりも美しく、靴の寿命を延ばすことができます。
アルコールティッシュを使うべきでない革靴の種類
特に以下のタイプの革靴には、アルコールティッシュの使用は避けた方が良いです。
- デリケートレザー(スエードやヌバック):これらの素材は特に繊細で、アルコールが染み込むと変色や質感の変化が顕著に現れます。
- パテントレザー(エナメル革):エナメルの表面の光沢が失われたり、ひび割れが発生する可能性があります。
- アンティーク加工の革靴:アンティーク加工やパティーヌ仕上げの革靴では、アルコールによって特有の風合いが失われることがあります。
まとめ

革靴にアルコールティッシュを使用すると、乾燥や色落ち、コーティングの剥離などのリスクがあり、革のダメージが進行しやすくなります。
アルコールティッシュの代わりに、革靴専用のクリーナーやケア用品を使用することが望ましいです。
万が一使用してしまった場合は、早めの保湿と色補正によってダメージを最小限に抑えるよう心掛けましょう。
以上、革靴にアルコールティッシュを使うとどうなるのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。